育休2年、とり方と5つのメリット・デメリット

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笑顔で子供を見つめ、鼻を近づけて触れ合う女性

2017(平成29)年の法改正により、育児休業(育休)は最長で子どもが2歳に達するまで延長が可能になりました。この制度を賢く活用する鍵は、市区町村での保育所入園申請を行い、入所不承諾通知を勤務先へ提出するという公的な手順を正しく理解することにあります。
さらに、2025(令和7)年4月からは、延長の手続きが厳格化され、単に通知書を提出するだけでなく、速やかな職場復帰の意思があることを示す書類の提出が必要になります。

当記事では、延長が可能になる具体的な条件や申請スケジュールといった「とり方」の基本から、離乳食の完了や夜泣きの落ち着きなど復職後の育児負担を軽減できるメリット、そして給付金の減額による家計への影響や企業の人員配置の負担といったデメリットまでを詳しく解説します。

待機児童問題などで予定通りの復職が難しい場合でも、この制度を正しく利用することで、復職後の生活負担が少ない新年度入園のタイミングに合わせた、無理のない再スタートを整えることができます。

育児休業ってどんな制度?

まずは育児休業(以下育休と記載)育休について、どのような制度なのかを簡単に説明します。
育休とは、法律によって定められた「子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業」のことです。
育休取得については、労働者が企業に申し出ることが必要です。1歳までの育休の申し出期限は、希望日の1か月前までとなっています。
「申し出」といっても、出産の報告を会社・上司に行う際に「育休を取得したいのですが」と意思を伝えることでOKです。
企業は申し出を断ることはできませんし(ただし法令上の対象外者を除く)、労働者から妊娠・出産(または配偶者の妊娠・出産)の報告を受けた際、企業は育児休業制度等についての説明・育休を取得するかどうかの意向を確認することが法的に義務付けられています。

育休の対象者

育休を取得することができる人は1歳に満たない子を養育する労働者」全員が対象となります。
しかし、有期雇用(契約社員、派遣社員、パート、アルバイト)で働いている場合は、下記条件に当てはまる人のみが対象となります。

以前は「1年以上雇用されていること」も条件にありましたが、育児介護休業法の改正により2022(令和4)年4月から撤廃されました。

  • 子どもが1歳6ヵ月(2歳までの育休の場合は、子が2歳)に達する日までに、労働契約(契約が更新される場合は、更新後の契約)の期間が満了しないこと

育休は「正社員だけが取れる」ものだと思っている人が多いようですが、パートやアルバイトでもこれに該当する場合は取得できます

※ただし、労使協定を締結している場合、以下の労働者は対象外となります。
・継続雇用1年未満の労働者
・申出の日から1年(1歳以降の休業の場合は6か月)以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

※申請前に必ず就業規則等を確認してください。

休業できる期間

育休期間は、子どもが生まれた日から1歳の誕生日の前日までの間です。原則として1人の子につき1回ですが、2022(令和4)年10月より、育休は分割して2回まで取得可能になりました。

また、「パパ・ママ育休プラス」という制度が2010(平成22)年にスタートしました。これにより、父母がともに育休を取得する場合には、子どもが1歳2か月に達するまで取得することが可能になりました。(父の場合は育休の上限は1年間、母の場合は産前・産後合わせて1年間)

パパ・ママ育休プラスとは

両親ともに育休する場合で、一定の要件を満たした場合には、育児・介護休業法の対象となる子の年齢が、原則1歳に満たない子から原則1歳2か月に満たない子に延長される制度。

対象

  • 配偶者が子の1歳に達する日以前において育児休業(産後パパ育休を含む)をしていること
  • 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
  • 本人の育児休業開始予定日が配偶者の育児休業(産後パパ育休を含む)の初日以降であること

※労使協定を締結している場合、以下の労働者は対象外となります
・継続雇用1年未満の労働者
・申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

出典:厚生労働省「パパ・ママ育休プラス

さらに2022(令和4)年10月より、男性の育児参加を促進するため、従来の育休とは別に取得できる「産後パパ育休」が創設されました。これにより、例えば「出産直後の退院時」と「里帰りから戻る時期」など、必要なタイミングで柔軟に休むことができるようになりました。また、1歳までの通常の育休も2回に分割して取得できるようになったため、夫婦で交代しながら育休を取るなど、より柔軟な計画が立てられます。

産後パパ育休とは

産後パパ育休とは産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業で、1歳までの育児休業とは別に取得できる制度。

対象

  • 産後休業をしていない労働者
  • (労働契約の期間を定めて雇用されている方)子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

※労使協定を締結している場合、以下の労働者は対象外となります
・継続雇用1年未満の労働者
・産後パパ育休申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

手続き期限

休業開始予定日の2週間前まで(労使協定を締結している場合は最大1か月前まで)に事業主に申出

出典:厚生労働省「産後パパ育休

育休の2年延長ととり方

2017(平成29)年10月から育休は、子どもが1歳の時点で職場に復帰できない場合は1歳6ヶ月まで、1歳6ヶ月の時点でできない場合は2歳までと、2回の延長ができるようになりました。

延長できるのはどんな場合?

延長するためには「保育所に入園できない等、1歳を超えても休業が特に必要と認められる場合」という条件が必須となっています。
次のうちのどちらかを満たしていれば休業が必要と認められます。

  • 保育所等の利用を希望し、申込みを行っているが、1歳(または1歳6か月)以後に入園が決まっていない場合
  • 子どもの養育を行う予定であった者が死亡、負傷・疾病等、離婚等により子を養育することができなくなった場合

ここで注意しておきたいのは次の2点!
「保育所」とは認可保育所を対象としており、無認可では許可されません。
・保育の申し込みをしているが、市町村から、少なくとも子どもが1歳(または1歳6か月)に達する日の翌日において保育が行われない旨の通知(例えば入所不承諾の通知書など)がなされている場合が対象です。

よって、「認可保育園の申し込みを行っていない」「入園が決まったが辞退した」などでは延長は認められません

必要書類(2025年4月改正)

保育所等に入れず、育児休業延長の手続きする場合、以下の書類が必要になります。

  • 育児休業給付金支給対象期間延長事務認定申告書
  • 市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
  • 市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知
    (入所不承諾通知書、入所保留通知書など)

従来は「入所不承諾通知書の提出で延長可能」が一般的でしたが、2025年4月以降延長の手続きが厳格化され、これまでの確認に加え、保育所等の申込が職場復帰のために行われたものであることが認められることが必要になります。
「入園が決まった後の辞退」だけでなく、自治体への申し込みの時点で内定しても辞退することを前提に申し込む(いわゆる延長狙い)」と判断された場合も、延長が認められなくなりました。

育休を延長するためには

育休延長の申請期限は次の2つになります。

  • 1歳6ヶ月までの延長は1歳の誕生日の2週間前まで
  • 2歳までの延長は1歳6ヶ月になる日の2週間前まで

このころまでに勤務先の会社へ育休の延長を申し出なければなりません。その際に先述した書類が必要となりますので、書類の準備も忘れず行いましょう。

つまり、子どもの1歳の誕生日、または1歳6ヶ月の誕生日の前月上旬までには、保育園の入園申請を完了させる必要があります。そして、申請後に入所不承諾通知がなされた場合、はじめて育休を延長してもよいと認められます。

当然のことですが、延長したいと思っていても、保育園に入園できた場合は、育休延長はできませんのでご注意ください。

なぜ延長できるようになったか

育休が2年延長になった理由は、待機児童問題と結びついています。
改正前は、子どもが1歳6か月になるまでの延長しかできなかったのですが、保育所の入園を考えると、実は休業期間が足りなかったのです。
待機児童が増えている昨今、保育所入園のタイミングは、

  • 0歳児 入園
  • 新年度(4月) 入園

が鉄則となっています。しかし、子どもの生まれ月によっては0歳児で入園することが難しい一方で、年度の途中で空きがでることは、ほぼありません。
下の図にあるように、8月生まれを例にしてみましょう。

育児休業が2年延長の場合

8月生まれの子の場合、4月入園をしようと思うと、生後2ヶ月頃に申請を行わなければならないため、産後のバタバタなどで申請自体ができないことがあるでしょう。この機会を逃してしまうと、途中入園枠に回されてしまいます。

また、生後6ヶ月未満は預かってもらえない認可保育園も多く、まだハイハイもできない子を預けることにはママ自身も不安を感じるでしょう。
1度目の延長をしても1歳6ヶ月になるのは2月。これでは、新年度まであと2ヶ月もあります。この2ヶ月の間、子どもは保育園に入れないのに育休は切れてしまうということが今までは起きていました。
育休が切れたママたちは、おじいちゃんおばあちゃんに預かってもらったり、休職扱いにしてもらったりとそれぞれ自分たちで対応しており、それでもダメなら退職を選ばざるをえない…など、職場復帰には高いハードルとなっていました。
それらの不満や問題を解消すべく、育休が2年延長できることによって、子どもの生まれ月による有利不利を少なくし、子どもの新年度入園=職場復帰がしやすくなりました。

延長によるメリット

満面の笑みを浮かべる母親と、楽しそうに笑う二人の幼い子供たち

育休延長は「保育園に入園できない時」に使用するものですが、実はいろいろなメリットもあります。  

有給休暇を使わなくてよい/休職(欠勤)扱いにならない

先に例をあげたように、育休が切れると預かり先がない人は、有休を使うか休職にしてもらうかしかありません。

子どもが保育園に入りたての頃はどうしても病気になりがちで休むことが増えます。なので、なるべく有休は使わずにとっておきたいところです。

また、延長した場合でも、ママたちの強い味方「育児休業給付金」は続けて支給されますので、休職による家計の心配も少しは軽減されます。 

離乳食が完了できる/夜泣きが落ち着く

1歳を超えての入園になると、保育の面でメリットがあります。

例えば、離乳食が完了して幼児食へ移行できているので、仕事で忙しいお母さんの食事作りに負担がかかりにくいです。

「大人食と子ども食を取り分けて…」「まだ噛み切れないから小さく切って柔らかめにゆでて…」

育休中にはかけられていた手間ヒマを、復帰後も同じようかけることは難しいでしょう。

ほかにも、完全母乳の場合は搾乳が必要であったり、離乳できていなければ「半日保育にしましょう」と保育園側から言われてしまうことも。

また、1歳未満であれば離乳食完了は保育園主導になります。アレルギー有無の確認は家庭ですることになりますので、保育園側から「○○が食べられるかどうか確認してきてください」と言われます。

「新しい食材を食べさせるのは午前中」というのはママにとっては常識。なので、休みの日だけでアレルギー確認をするのは大変です。

また、1歳前後は夜泣きがある場合が多いでしょう。職場復帰して間もないママにとって、日中の疲れを取りたい夜中に起こされては、体力・精神面でヘトヘトになります。

育休を2年に延長した場合、そういった面でも仕事と育児が両立しやすくなります。

最も予防接種が多くなる時期を余裕をもって乗り越えられる

1歳の誕生日後には、多数の予防接種があります。

育休中は平日に病院に行けるので、混雑を避けられて助かります。

病院によっては予防接種の曜日が決まっているところもあり、だいたいが平日です。

育休中であれば、そのためだけに仕事を休まなければならないということもありません。  

資格の取得などキャリアアップの時間につかう

育休を延長したママには、保育園に落ちたことを残念に思う一方で、自分の時間が得られたと前向きにとらえている人もいます。

子どもが昼寝・夜寝している間に、ブランクに対する不安を解消させるべく情報収集をしたり、新たな資格取得に励んだりもできます。  

家を建てるなど、家庭やプライベートの長期計画を済ませる

職場復帰後には難しくなるであろう家庭のことを、この際済ませておくというのも手です。育休中に家を建てたという人も。

仕事が始まれば難しくなること、しておかなかればならないことをリストアップしてみるのもいいですね。

延長によるデメリット

幼い子供を抱きかかえるスーツの女性

親離れ子離れが難しくなるかも

2歳まで親子ずっと一緒に過ごしているところから急に保育園へとなると、環境変化にとまどう子も。

すでに体が大きくなってきている我が子を引きずりながら登園、先生にムリヤリ引きはがしてもらい子ども号泣…という朝の惨劇も少なくありません。

反対に、子どもの方は順応性が高く慣れるのも早かったけれど、親の方が子離れできずに仕事に行くのが辛くなってしまったというケースもあります。  

集団生活・保育園ルールに慣れるのに時間がかかる

0歳から入園している子と比べれば、集団生活や保育園のスケジュールに慣れていません

たくさんの知らない大人・子どもたちに囲まれて、一定のルールのもと生活できるようになるには時間を要します。

また、保育園では「○歳までにおむつをはずす」「○歳までに箸が使えるようになる」というように、月齢にあわせた発達課題が組まれています。

0歳児入園組は既に準備や素地ができていますが、2歳途中の入園となると、そのペースについていくのが難しくなってしまうことも考えられます。

同じ組の子はみんなおむつがはずれているのにうちの子はまだ!入園と同時に一人だけトイレトレーニングスタートでプレッシャーを感じた、という話も聞きます。  

企業の人員配置に負担

育休が2年になってから「わざと延長している人がいるのでは?」と言われはじめるようになり、マスコミが大きく取り上げたことで、現在社会問題につながっています。

「子どもとなるべく長く一緒にいたい」という理由から、保育園申請時の点数をわざと下げて、不承諾通知をゲットしようとする人も一定数いるようです。

企業の見方としては、欠員が出ている状態で、しかもその穴を埋めずに他の人員で補い合っているため、1日でも早く復帰してくれることを望んでいるでしょう。

また、あなたにしかできない仕事もあります。

いずれは復帰する職場ですから、誤解やトラブルのないようにしておきたいですね。  

収入がダウン

お金の面はデメリットが大きくなります。

育休中は給与・賞与は出ないですし、いくら給付金があるといえども、休業開始時賃金日額×支給日数の計算で、最初の6ヶ月は×67%、6ヶ月後には×50%ともらえるお金は確実にダウンしていきます。
2年間の生活費・養育費の工面を考えれば、当然早めに働き始める方がよいことになります。

一方で、このデメリットを補うべく、育休中に副業を始めたというしっかりママさんもいます。
また、シングルマザーだと給付金だけでは家計を支えられません。
育休中でも、会社で認められていれば副業することができます。
条件は、時間:月10日(80時間)まで、収入:副業で稼いだ給与+給付金で合計して休業開始時の月収×80%以下が上限です。

誰かに子どもを見てもらっている間に、短時間でさくっと稼いでみるのもよいでしょう。 

また、2025(令和7)年4月からは新たに「出生後休業支給給付金」が創設されました。出生直後の一定期間に14日以上(産後パパ育休を含む)の育休を取得する家庭に支給される制度です。

次の子の出産計画が難しい

二子目、三子目など次の子を考えている人にとっては、育休2年は非常に悩ましいところです。というのも、育休中に次の子を妊娠する可能性があるからです。

また、兄弟を2歳差で産みたいと考える人が多いなかで、復帰した後すぐまた育休となると職場に対して気まずさを感じ、出産計画になかなか踏み切れないこともあるでしょう。

まとめ

育休2年延長は様々なメリットを含み、ママの職場復帰をサポートしてくれます。
2025(令和7)年4月からは手続きが厳格化され、職場復帰の意思をより明確に示す必要があります。
一旦育休を延長しても保育園の入園が決まれば、その時点で復職ができます。保育園に落ちてもあまり落ち込まず、メリットを重視して新年度入園にそなえましょう。  

FAQ

育児休業(育休)はいつまで取得でき、どのような場合に延長が可能ですか?

育児休業(育休)期間は原則として子どもが1歳の誕生日の前日までですが、保育所に入園できない等の理由がある場合は最長2歳まで延長可能です。2017(平成29)年の法改正により、1歳時点で復帰できない場合は1歳6ヶ月まで、さらにその時点でも復帰できない場合は2歳までと、段階的に2回の延長ができるようになりました。さらに2025(令和7)年4月からは、延長の際に「速やかな職場復帰の意思」を確認するための書類(申込書の写し等)の提出が新たに義務付けられました。

パートやアルバイトでも育休を取得することはできますか?

はい、正社員に限らずパートやアルバイトの方も、一定の条件を満たせば取得可能です。2022(令和4)年4月の法改正により「1年以上雇用されていること」という要件は撤廃されました。現在は「子どもが1歳6ヶ月(2歳までの延長時は2歳)に達する日までに契約満了が予定されていないこと」が条件です。
※ただし、労使協定で除外される場合もありますので、必ず勤務先の就業規則等をご確認ください。

保育所等に入園できず、育休を延長するためには、どのような書類や手続きが必要ですか?

認可保育所の入所申込みを行っているが、1歳(または1歳6ヶ月)の時点で入所が決まっていない場合に延長が認められます。2025(令和7)年4月以降は、従来の「入所不承諾通知書」に加え、「延長事務認定申告書」と「保育所申込書の写し」の提出が必要になります。無認可保育所への申込みや、入園を辞退した場合は延長の対象外となるため注意しましょう。

監修:株式会社KG情報

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