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「会社を辞める」という決断のあとには、避けては通れない多くの手続きが待っています。
社内での書類提出はもちろん、健康保険や年金の切り替え、税金の精算など、自分で行わなければならない重要な手続きが数多く存在します。これらを怠ると、医療費が全額自己負担になったり、受け取れるはずの手当を逃したりする恐れがあります。
当記事では、円滑な退職のための社内手続きから、ハローワーク等で行う公的な申請、転職先での書類提出まで、手続きの全体像を整理しました。
社内の手続き
1.退職届の提出
退職の手続きについては、就業規則や雇用契約書に基本的なルールが書かれているので、いつまでにどんな社内手続きが必要なのかをあらかじめ確認しておきましょう。
ただし、これらの書類には細かい手続きまで載っていないこともあります。提出する書類など、具体的な内容が分からない場合は、人事や総務の担当者に相談すると安心です。
2.有給休暇の消化
年次有給休暇が残っている場合は、退職日までの間にその休暇を使うことができます。
退職日を過ぎると年次有給休暇は消えてしまうため、早めに計画して取得しておきましょう。
ただ、退職が近づくと業務の整理や引継ぎで休みが取りにくくなることもあります。
後任の方としっかりコミュニケーションを取りながら、休暇を使いつつスムーズに引継ぎができるよう進めていくことが大切です。
3.退職時に受け取る書類
退職時に会社から受け取る書類は以下の通りです。
- 退職証明書※1
- 源泉徴収票
- 健康保険資格喪失証明書
- 雇用保険被保険者証
- 基礎年金番号通知書
- 離職票※1※2
※1:退職者自身で申請する必要があります。
※2:離職期間がある方は必ず受け取るようにしましょう。

詳しくはこちらの【転職の準備】サイトをご覧ください。
手続きのポイント
・退職届の提出や有給休暇の消化は計画的に
・退職時に受け取る書類も事前に確認を
公的な手続き
退職後に必要な公的な手続きには、
があります。
1.健康保険の手続き
健康保険に加入する方法は大きく4つあります。
転職先の健康保険に入る、国民健康保険に加入する、前の勤務先の健康保険を任意継続する、そして親族の扶養に入るという選択肢です。
転職先の健康保険に入る
退職時にすでに転職先が決まっている場合は、新しい会社で健康保険の加入手続きを行うことになります。
入社のタイミングで、健康保険の加入に必要な個人情報を会社が集めている場合は、そのまま会社側で手続きを進めてもらえます。
会社から必要な情報の提出を求められたら、案内に沿って提供しましょう。
提出方法(メールや書面など)や締め切りは担当者から案内がありますので、その指示に従って進めてください。
国民健康保険に加入する
国民健康保険は、他の医療保険(被用者保険や後期高齢者医療制度)に加入していないすべての住民が対象となる医療保険制度です。
都道府県や市区町村(特別区を含む)が運営する「市町村国保」と、業種ごとに作られている「国民健康保険組合」の2つで構成されています。
国民健康保険に加入する際に必要な書類は次のとおりです。
- 印鑑
- 口座番号がわかるもの(保険料を口座振替にする場合)
- マイナンバーが確認できるもの(加入する人全員分)
- 身分証明書
- 健康保険の資格喪失証明書、退職証明書、離職票のいずれか
加入手続きは、住んでいる市区町村の窓口で行います。自治体によっては郵送で受け付けているところもあります。
原則として、退職日の翌日から14日以内に手続きを済ませる必要があります。
前の勤務先の健康保険を任意継続する
これまで加入していた協会けんぽや健康保険組合の保険を、そのまま続けて利用する方法です。
「任意継続被保険者資格取得申出書」に必要事項を記入し、居住している住所地を管轄する協会けんぽ支部へ、退職日の翌日から20日以内に提出します。
会社に独自の健康保険組合がある場合は、その組合の担当者へ提出します。
親族の扶養に入る
家族の健康保険の「扶養」に入る方法です。
扶養に入るためには、扶養者(家族)の会社の担当窓口へ、続柄がわかる書類(被保険者の戸籍謄本や戸籍抄本など)や、収入の状況を確認できる書類(退職証明書や年金額改定通知書の写しなど)を提出する必要があります。
被保険者に新しく扶養家族が増えた場合は、事実があった日から5日以内に、会社の担当者へ必要書類を提出します。
健康保険証を紛失している場合は、会社が「健康保険被保険者証回収不能届」を「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」に添付して手続きを行います。
そのため、必要に応じて紛失した理由を会社へ伝えてください。
2.年金の手続き
国民年金加入の手続き、厚生年金加入の手続きがあります。
国民年金とは
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。
将来の老後の生活を支えるだけでなく、重い障害を負ったときや、家族を亡くしたときなど、万が一の場面でも生活が大きく困らないよう、みんなで保険料を出し合って支え合う仕組みになっています。
退職後、しばらく仕事をしない場合や、厚生年金の加入条件を満たさず被保険者にならない場合は、自分で国民年金への切り替え手続きを行う必要があります。
一方、退職後に厚生年金へ加入している会社で働く場合で、常時雇用されていて70歳未満の方は、会社側が厚生年金の手続きを進めてくれます。
・年金手帳または基礎年金番号通知書
・退職日が確認できる書類
(退職証明書や健康保険資格喪失証明書など)
・身分証明書(運転免許所、パスポートなど)
・印鑑
住民登録をしている市区町村役場の国民年金担当窓口
退職後14日以内
国民年金保険料の免除制度があります!
保険料を払うことが難しいときのために、「免除制度」という仕組みがあります。
免除の申請は、保険料の納付期限から2年以内であればさかのぼって行うことができます(申請時点から2年1カ月前までの期間が対象です)。
3.雇用保険の手続き
再就職を目指している場合、雇用保険の手続きをしておくと、基本手当(いわゆる失業手当)を受け取りながら仕事探しを進めることができます。
失業手当とは
失業手当とは、会社を退職したときに、一定の条件を満たす人が雇用保険から受け取れるお金のことです。
正式名称は 「基本手当」 といいます。
離職理由によって、基本手当(失業手当)を受給できる時期や開始までの待機期間が変わります。そのため、会社が作成する離職証明書に記載された離職理由を確認することがとても重要です。
・雇用保険被保険者離職票-1
・雇用保険被保険者離職票-2
・雇用保険被保険者証
・個人番号確認書類
現住所を管轄するハローワーク
・現在、失業している状態であること
・退職日以前の2年間に雇用保険に通算12カ月加入していること
・ハローワークで求職の申込を行っていること
基本手当を受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。
ただし、短期雇用特例被保険者の場合は6カ月間となります
この受給期間の中で、失業状態にある日(受給手続きが完了した日以降)について、決められた「所定給付日数」の範囲内で基本手当を受け取ることができます。
(離職前6か月の給与の総支給額の合計÷180)×給付率
※給付率は離職時の年齢、賃金により、45~80%になります。
※給付額には上限・下限あり
また、「再就職手当」といった、雇用保険の受給資格が決まった後、求職活動中に早期に再就職したり、自分で事業を開始したりした場合に支給される手当があります。早期の就職を促すための制度として設けられています。
再就職手当支給申請書
(受給資格者証を添付)
現住所を管轄するハローワーク
就職日翌日から1カ月以内
(事業を開始した場合はハローワークに確認)
再就職手当の金額は、就職日の前日時点で残っている基本手当の支給残日数によって決まります。
支給残日数が全体の3分の2以上ある場合
基本手当日額 × 支給残日数 × 70%
支給残日数が全体の3分の1以上ある場合
基本手当日額 × 支給残日数 × 60%
※1円未満は切り捨て
※基本手当日額には上限額あり
再就職手当を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。
・就職日の前日までに失業の認定を受けており、支給残日数(受給期間内に残っている基本手当の日数)が所定給付日数の1/3以上あること
・1年以上勤続して働くことが採用時点で確実と認められていること
・離職前に働いていた会社への再雇用でないこと
・待機期間が終わった後に就職していること
・給付制限がある場合は、待機満了後1カ月についてはハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職していること
・就職日3年以内に、再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと
・受給資格決定前に内定していた会社の就職したものではないこと
・原則として、就職先で雇用保険の被保険者となること
・支給申請後、ハローワークの調査時点で再就職先を離職していないこと
4.住民税・所得税の手続き
住民税は、1年間の税額を 毎年6月から翌年5月までの12回に分けて、給与から天引き(特別徴収) で納めます。会社を退職する場合、住民税の納め方は次の3つのいずれかになります。
- 特別徴収(転職先で継続して天引き)
-
退職後すぐに転職し、新しい勤務先で給与を受け取る場合、転職先の給与から引き続き天引きで納める方法 です。
- 一括徴収(退職時期:1~5月)
-
退職時の最後の給与から、残っている住民税をまとめて差し引く方法 です。
- 普通徴収(退職時期:6~12月)
-
退職後に、市区町村から送られてくる納付書で自分で納める方法 です。
なお、退職時期が 6~12月の場合は原則として普通徴収 ですが、本人が希望すれば 一括徴収に変更することも可能 です。
5.退職金の手続き
退職金を受け取る際、退職手当等の支給を受ける人は、氏名や勤続年数などを退職所得の受給に関する申告書に記載し、退職手当等の支払者に提出することが必要です。勤務先で必要な手続きを行っていれば、源泉徴収によって税金の精算が完了するため、原則として確定申告をする必要はありません。
そのため、勤務先での手続きを確実に行うことがとても重要です。
その年に他の退職手当の支給を受けている場合は、その退職手当に関する「退職所得の源泉徴収票」1部が必要です。
退職金の受け取り方法や計算方法は、会社の退職金規程に記載されています。
もし退職金規程に詳細が載っていない場合は、人事・総務担当者に確認する必要があります。
退職手当等の支払者(勤務先の会社)
国内で退職手当などの支払いを受ける居住者は、退職所得の受給に関する申告書を提出する必要があります。
この申告を提出しない場合、退職手当の金額に対して 一律20.42%の税率で源泉徴収 が行われます。
6.年末調整と確定申告
会社から給与を受け取っている場合、所得税は通常、給与から源泉徴収されます。ただし、この源泉徴収はあくまで概算のため、実際の税額との間に過不足が生じることがあります。
給与所得者は、年末に会社が行う 年末調整 によって税金の精算が完了するため、原則として確定申告をする必要はありません。
しかし、年の途中で退職した場合、源泉徴収された所得税が実際より多く納められていることがあります。
その年のうちに再就職しない場合は、確定申告を行うことで納め過ぎた所得税が還付されます。
7.退職後の傷病手当金
退職日まで継続して1年以上、健康保険の被保険者であった従業員が、退職日に傷病手当金を受給している、または受給できる状態(支給要件を満たしている状態)であれば、退職後も傷病手当金を引き続き受け取ることができます。
傷病手当金は病気やケガで働けない期間のうち、最初の3日間(待機期間)を除き、4日目から支給されます。
令和4年1月1日以降に支給が始まった場合、支給期間は支給開始日から通算して1年6カ月となります。
※ただし、支給開始日が令和2年7月1日以前の場合は、従来通り支給開始日から最長1年6カ月が上限
退職後に一度でも働ける状態になると、その後に再び働けなくなっても傷病手当金は受給できません。
(退職後の継続給付は「労務不能」が継続していることが条件です)
次の 2つの条件 を満たす場合、退職後も残りの期間について傷病手当金を受け取ることができます。
・退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること(健康保険の任意継続期間は含まれません)
・退職時点で傷病手当金を受給している、または受給要件を満たしていること
※退職日に出勤した場合は「労務不能」と認められないため、退職後の継続給付は受けられません。
傷病手当金が調整される場合があります
〇障害厚生年金・障害手当金との調整
同じ病気やけがで障害厚生年金または障害手当金が支給される場合、傷病手当金の支給額が調整されます。
〇老齢年金との調整
退職後に老齢年金を受給している場合も、傷病手当金の支給額が調整されます。
令和4年1月1日から、傷病手当金の支給期間が通算化されました!
同一の病気・けがについて、支給開始日から通算して1年6カ月に達するまでが支給対象
途中で働いた機関など、支給されていない期間があってもその分を繰り越して支給可能
⇒支給される日数ではなく支給開始日から通算期間で判断されます。
転職後の手続き
転職先での主な手続きには、
- 入社時の書類提出
- 保険証の発行
- iDeCoの手続き
等があります。
1.入社時の書類提出
入社時に提出が求められる主な書類の例は以下の通りです。
- 雇用保険被保険者証(会社へ預ける場合)
- 年金手帳(会社へ預ける場合)
- 源泉徴収票
- 健康保険扶養者異動届(扶養家族がいる場合)
- 扶養控除等申告書
- その他(必要に応じて)
給与振込先の登録書類、資格証の写し等
※これらはあくまで一例ですので、実際に提出する書類は就職先からの指示に従って準備してください。
2.保険証の発行
新しい健康保険証が発行されるまでには、通常 1〜2週間ほどかかります。
その間は、健康保険被保険者資格証明書を提出することで、保険証と同じ扱いとなり、自己負担分のみで診察を受けることができます。
健康保険被保険者資格証明書は、会社の所在地を管轄する年金事務所の窓口で、健康保険被保険者資格証明書交付申請書と本人確認書類を持参すれば、即日で発行してもらえます。
3.iDeCoの手続き
就職(転職)先に企業型確定拠出年金の加入制度があるかどうか、または確定給付企業年金があるかどうかなどによって、必要となる手続き書類は変わります。
そのため、具体的な提出書類については、就職(転職)先の案内に従って準備してください。
まとめ
退職から転職までの手続きは多岐にわたりますが、一つひとつ確実に進めることで、公的なサポートをしっかり受けながら新しい環境へ踏み出すことができます。
当記事で整理した「社内・公的・転職先」での必要書類や期限を再確認して、ぜひ万全の準備で新しい職場でのスタートを迎えてください。
FAQ
監修:株式会社KG情報
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